プロのイラストレーターのししゃもけんご(Xはこちら)です。フリーランスで活動しています。よろしくお願いします。

「プロにイラストを依頼したいけど、どのくらいの予算をとればいいか分かりづらい」

とよく聞きます。そこで今回は、イラストを依頼したい方向け、特にイラストのご依頼経験のない、本当に何から考えればいいかわからない！という初心者の方に向けて、イラスト制作の相場や料金についてまとめました。実際に依頼を受けるプロのイラストレーターの視点から予算について様々な実情をお伝えします。

先に結論からいうと…

・プロなら大体1点辺り１万～50万円くらいで、かなりバラつきがある(料金表の相場を参照)

・実際にいくらなのかは依頼したい方に見積りを出してもらうのが一番手っ取り早く、確実

というのが現状だと思います。価格帯に関してはあくまで参考程度です。今回筆者が参考にしたデータも作成者の経験に基づくものです。大体こんなもんか…くらいに考えていただければと思います。

なぜそんな結論なのかといえば、料金は一概に言えないというのが主な理由なのですが、その詳細を以下にまとめます。

・前提として

本題に入る前にまず前提条件を確認します。ご了承ください。

• 無料は基本的にない…イラストレーターの方が「無料で描きます」と明記していない限り、無料で制作してもらえることは基本的にありません。親しい間柄であっても無料は避けるのが無難です。
• 料金は一概に言えない…イラストの料金はさまざまな条件によって変動するため、一律「1点○○円です」とは言えません。
• 個人？企業？…ご依頼される方が個人として依頼するのか、企業の進めるプロジェクト(例えば書籍の出版)として依頼するのかで大きく金額が変わります。一般に後者、企業様からのご依頼の方が料金は高くなります。イラストに見込まれる経済効果が大きいためです。この記事では企業様からプロのイラストレーターへご依頼される場合の料金の話をします。
• 両者の合意で決まる…最終的に発注者と受注者の合意で料金は決まります。発注者の提示する依頼内容から受注者は料金の見積りを出し、お互いにOKならそれで何も問題ありません。

・料金の求め方(一般編)

筆者の調べた限り、イラスト制作の料金は…

誰が描くか(知名度や実績)×どこに載せるか(使用媒体)×どのように描くか(タッチ)

で概ね決まります。考慮される要素は主にこの３つです。以下、各要素の説明です。

• 誰が描くか(知名度や実績)…つまり知名度が高かったり実績豊富なイラストレーター様ほど料金は大きくなりがちですが、今回は言及しません。料金表は一般公開してないとこが多いからです。
• どこに載せるか(使用媒体)…イラストに見込まれる経済効果が使用媒体によって大きく異なるためです。
• どのように描くか(タッチ)…料金は制作時間や手間に比例して大きくなるように設定される傾向にあります。当事務所でも例に漏れず。

・一般的なイラスト制作の相場

一般的な相場として、日本イラストレーター協会様が料金表を公表しています。

上の式でいうとどこに載せるか(使用媒体)×どのように描くか(タッチ)のかけ合わせで料金を提示しています。参考のため引用します。

以下、料金表の条件です。

• 企業様からプロのイラストレーターへご依頼される場合の料金表です。
• イラスト一点あたりの金額です。
• 単位は円です。
• 消費税抜き価格です。
• 2020年1月時点のデータです。

タッチ別の基準(Eが最も手間＝料金がかかる)

• Aランク : 線画にベタ塗り、線なしベタ塗り等の構成などシンプルなイラスト
• Bランク : 線画に多少立体感を付ける程度のAより少し手間のかかるイラスト
• Cランク : 線なしの立体感のあるイラスト
• Dランク : 写実的なタッチや、水彩画などの手描きのイラスト
• Eランク : スーパーリアルや細密画など、とても手間のかかるイラスト

・日本イラストレーター協会様が公表している料金相場

1.カットイラストの相場

カットイラストとは、雑誌やパンフレットなどの文章の間に挿入される小さいイラストのことです。（使用サイズが10cm角以内程度）

1,000～25,000の価格帯です。

イラストの条件╲ランク	Aランク	Bランク	Cランク	Dランク	Eランク
人物1人、顔のみ、背景なし	2,000	3,000	4,000	5,000	8,000
人物1人、上半身、背景なし	3,000	4,000	5,000	6,000	10,000
人物1人、全身、背景なし	5,000	6,000	7,000	8,000	15,000
人物2人、上半身、背景なし	5,000	6,000	8,000	10,000	18,000
人物2人、全身、背景なし	7,000	8,000	10,000	15,000	20,000
人物3人以上、全身、背景なし	9,000〜	10,000〜	12,000〜	20,000〜	25,000〜
シンプルな背景付きの場合の追加料金	1,000	1,200	1,500	2,000	3,000
描き込む背景付きの場合の追加料金	1,500	2,000	3,000	4,000	5,000

2.表紙イラストの相場

表紙イラストとは、雑誌、単行本、文庫、パンフレット、カタログなどの表紙に使用されるイラストのことです。

30,000～150,000の価格帯です。

イラストの使用媒体╲ランク	Aランク	Bランク	Cランク	Dランク	Eランク
雑誌╱パンフレット╱カタログ	50,000〜	60,000〜	80,000〜	100,000〜	150,000〜
単行本╱文庫	30,000〜	40,000〜	50,000〜	70,000〜	90,000〜

3.広告イラストの相場

広告イラストとは、企業が宣伝を目的としたイラストのことです。

8,000〜500,000の価格帯です。(カレンダーは複数枚のため例外)

イラストの使用媒体╲ランク	Aランク	Bランク	Cランク	Dランク	Eランク
ポスター　A1	80,000〜	100,000〜	120,000〜	150,000〜	200,000〜
ポスター　A2	50,000〜	60,000〜	80,000〜	100,000〜	150,000〜
ポスター　A3	30,000〜	40,000〜	60,000〜	80,000〜	100,000〜
POP　A4	20,000〜	30,000〜	40,000〜	50,000〜	70,000〜
車内吊り　A3	50,000〜	60,000〜	70,000〜	100,000〜	150,000〜
車額　A3	30,000〜	40,000〜	60,000〜	80,000〜	100,000〜
チラシ╱パンフレット╱カタログ　A4	20,000〜	30,000〜	50,000〜	70,000〜	90,000〜
リーフレット　A4の1/3	8,000〜	10,000〜	15,000〜	20,000〜	30,000〜
カレンダー　A3　12枚	240,000〜	300,000〜	500,000〜	800,000〜	1,200,000〜
カレンダー　A3　6枚	120,000〜	150,000〜	200,000〜	300,000〜	600,000〜
卓上カレンダー　12枚　ハガキサイズ	120,000〜	150,000〜	180,000〜	200,000〜	250,000〜
新聞広告　全15段　全国紙	80,000〜	100,000〜	120,000〜	150,000.〜	200,000〜
新聞広告　全15段　地方紙	70,000〜	80,000〜	100,000〜	120,000〜	150,000〜
雑誌広告　全5段　全国紙	30,000〜	40,000〜	50,000〜	70,000〜	100,000〜
パッケージ　A5以内	20,000〜	30,000〜	40,000〜	60,000〜	80,000〜
ウエブ　トップページのメインビジュアル	30,000〜	40,000〜	50,000〜	70,000〜	100,000〜
テレビコマーシャル	40,000〜	50,000〜	70,000〜	100,000〜	150,000〜
テレビ番組	10,000〜	12,000〜	15,000〜	20,000〜	30,000〜
雑誌広告　縦横20cm以内	20,000〜	30,000〜	40,000〜	60,000〜	80,000〜
企業のマスコットキャラクター	100,000	150,000〜	200,000〜	300,000〜	500,000〜

上記の金額は2020年1月時点の相場です。物価の上昇などに伴い変化することが予想されます。

出典：日本イラストレーター協会（JIA）

ご覧の通り、使用媒体によって大きく価格帯は変わります。そして各ランクを比較すると、どの使用媒体でもEはAの約3～5倍でB～Dはその中間といった具合です。

こちらの日本イラストレーター協会様の料金表は、当事務所「ししゃもけんごillustration」の料金表を設定する際に参考にさせていただいております。当事務所にご依頼される場合も概ねこの辺りの金額になるかと思います。

・料金の求め方(ししゃもけんごillustration編)

今までは一般的な話でした。ここからは一例として当事務所「ししゃもけんごillustration」がどのようにイラスト制作料金を設定しているかをご紹介します。

基本的に当事務所でもどこに載せるか(使用媒体)×どのように描くか(タッチ)のかけ合わせで料金を設定しています。

どこに載せるか(使用媒体)は先述の通り日本イラストレーター協会様の料金表を参考にしています。

どのように描くか(タッチ)については少し独特です。当事務所の独自のルールとして、タッチによる制作時間、手間、料金の違いを４つのコースに大別して設定しています。コースごとの詳細は以下のリンクからご確認ください。

1.厚塗りコースが最も制作時間、手間、料金がかかり、3.かんたん塗りコースが最も安価なコース、といった具合です。各コースの価格帯は以下の通りです。

• 1.厚塗りコース…70,000 ～ 150,000
• 2.アニメ塗りコース…40,000 ～ 100,000
• 3.かんたん塗りコース…30,000 ～ 50,000
• 4.漫画コース…40,000 ～ 100,000

なお、当事務所の料金表の詳細はこちらからダウンロードできる営業資料にて掲載しています。当事務所へご依頼される際のご検討にご利用ください。

・イラスト制作料金の変動条件

料金の求め方(一般編)にて先述した

誰が描くか(知名度や実績)×どこに載せるか(使用媒体)×どのように描くか(タッチ)

に加えて、イラスト制作料金にはケースバイケースで細かな補正が入ります。何を考慮するかはイラストレーターによって様々です。一例として当事務所においては…

• 描き込む背景…背景分の手間が加わるため追加料金をいただきます。
• 短納期…こちらの提示する制作期間より短い納期ですとスケジュール調整の手数料がかかります。
• モノクロorフルカラー…モノクロよりフルカラーの方が高いです。
• ご依頼点数…一度に複数点ご依頼の場合は割引があったりします。

…などが価格決定に影響します。お見積りの際はご依頼一件一件の状況に合わせた適正な価格をご提示します。こういったイラスト制作料金の変動条件も上記の営業資料にてまとめてあります。

・制作料金の他に料金が発生する場合

1.修正(リテイク)

修正が無料か有料か、何回まで受け付けているか無制限か、イラストレーターによって様々ですのでウェブサイトをチェックしたりヒアリングで訊いたりと確認しておくと安心です。

当事務所「ししゃもけんごillustration」では、修正は基本的に何回でも受け付けており、すべて無料です。遠慮なくお申しつけください。

ただし、ラフ案でOKが出たにも関わらず後々に１から描きなおすほどの大きなリテイクが発生した場合は、それは修正ではなく再度新規依頼というかたちで対応させていただきます。キャンセル料はいただきませんが、このような意思疎通のミスは最も避けたい状況です。

全体的なご依頼の流れはこちらを参照ください。

2.二次使用

二次使用とは、ご依頼の際に提示する使用媒体以外の媒体へ制作物を使用することを指します。例えば発注者がパンフレットにのみ使用すると契約したイラスト制作を依頼し、納品されたそのイラストをウェブサイトに転用するといったことが二次使用にあたります。無断の二次使用は著作権違反になりますのでご注意ください。

もし他の媒体でもイラストを転用したいという場合には、1つの媒体につき制作費の何%かの二次使用料を支払うことで使用可能になります。イラストレーターによってその割合は異なりますが、制作代金の20％〜70％としていることが多いとされています。

当事務所においても二次使用をご希望の際は、必ずその旨をご連絡下さい。二次使用料を申し受けます。使用料のめやすは、制作代金の50%です。

3.著作権譲渡

基本的にご依頼頂きました制作物の著作権は制作者が有します。著作財産権の譲渡や貸与をご希望の場合は、別途ご相談ください。著作権譲渡にかかる料金はその制作物にかかる料金の2～10倍とされています。

・気楽にイラスト制作のお見積りを

ここまでイラスト制作にかかる料金の実情をお伝えしましたが、それらはあくまで一般的な話ですのでそれらを踏まえたうえで、やはり最も確実で手っ取り早いのは冒頭に述べたように

依頼したい方に見積もりを出してもらう

ということです。発注者の依頼内容も様々であれば、それをどう受け取るかもイラストレーターによっても本当に様々だからです。お見積りが無料かどうかを確認したうえでお問い合わせください。

ネットの向こう側にいる会ったことのない方にお声がけするのは勇気のいることかと思います。ご依頼を受ける側である筆者も少し緊張します。「わざわざ見積りを出してもらって依頼しないのは悪いんじゃないか…」と思われるかもしれません。しかし見積りを出してもらって初めて依頼するかどうか検討ができるわけで、それを断っても冷やかしでもなんでもないと筆者は思います(お節介かもですが…)。どうぞ気兼ねなくお問い合わせください。

・宣伝

当事務所「ししゃもけんごillustration」では、出版社様、雑誌・書籍の編集プロダクション様、アートディレクター様等を主な対象として、イラスト制作を承っています。キャラクターや生き物などのイラストを中心に、デジタルイラスト制作を行っており、雑誌・書籍・広告などに向いています。

お見積りは無料です。お問い合わせフォームより気軽にご連絡ください。ご依頼内容を送信後、24時間以内に返信いたします。そのうえでお見積りを提示いたします。

・まとめ

イラスト制作をプロのイラストレーターに依頼する価格について、以上がその実情です。筆者の知り得る限りをまとめました。箇条書きにすると以下の通りです。

• プロなら大体1点辺り１万～50万円くらいで、かなりバラつきがある
• 実際にいくらなのかは依頼したい方に見積もりを出してもらうのが一番手っ取り早く、確実
• 制作料金≒誰が描くか(知名度や実績)×どこに載せるか(使用媒体)×どのように描くか(タッチ)
• イラスト制作料金の変動条件(短納期、ご依頼点数…)
• 制作料金の他に料金が発生する場合(修正、二次利用、著作権譲渡)
• イラスト制作のお見積りは気兼ねなく

このブログではイラスト制作をご依頼される方のためになるような情報を今後も発信していきます。料金について不明な点や不安な点、または他にも「こんなことに困っている…」といったことがありましたら筆者のXのDMにてご相談ください。可能な限りお答えします。

このブログが少しでもイラスト制作ご依頼の検討や不安要素の軽減にお役に立てればと思います。

筆者：ししゃもけんごillustration 代表 ししゃもけんご(本名:瀬戸山 賢吾)